【病院薬剤師からの転職】 臨床現場経験を活かしてMSLに

【病院薬剤師からの転職】  臨床現場経験を活かしてMSLに

今、医薬の分野で注目を集めている職種「MSL(メディカルサイエンスリエゾン)」。現在、MSLとして働かれている方は、どのような経緯でこの仕事と出会い、活躍しているのでしょうか。今回はインタビュー第2弾として、病院薬剤師からMSLに転職したTさん(30代女性)に、これまでの経歴やMSLとして働くまでの経緯、仕事のやりがいなどを語っていただきました。

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INDEX

薬学部を経て病院薬剤師に:患者様との信頼関係を構築

転職のきっかけ:患者様との距離感の難しさ

転職活動:経験を活かせる分野で働きたい

MSLの仕事:自分の新しい強みを見つけられた

キャリア形成:自分らしい将来に向けた様々な選択肢

薬学部を経て病院薬剤師に:患者様との信頼関係を構築

高校生の頃、化学に興味を持っていた私は、興味があることを学びながら手に職となる資格を取得して、人の役に立てる仕事がしたいと考えていました。そこで目指したのが、薬剤師の仕事です。猛勉強の末、国立大学の薬学部に進学が決まり、6年間の学びを経て薬剤師の資格を取得しました。同級生は大学院に行って研究者を目指す人も多かったですが、私は研究よりも臨床への興味が強かったことから、大学病院での薬剤師の道を選びました。

私が勤務していたのは血液内科病棟で、ありがたいことに1年目から担当を持たせてもらえる環境でした。血液内科の場合、抗がん剤治療で入院する方、造血幹細胞移植を受ける方など、長期間入院される患者様が多くいらっしゃいます。担当になると半年~1年、さらに再発の可能性もあるので、年単位の長いお付き合いが続いていくのです。必然的に患者様と関わる時間も長くなるため関係性も深まりますし、思い入れもどんどん強くなっていきました。

患者様と関わる際に意識していたのは、不安なく入院生活を送っていただくための環境づくりです。患者様は、医師や看護師と会話する回数は多いですが、なかには「ゆっくり時間を取れない」「本音で話せない」と感じている方もいらっしゃいます。患者様の不安な気持ちを少しでも和らげるために、お一人おひとりにあわせたコミュニケーションは大切にしていました。
必要なことだけ簡潔に教えてほしいという方には注意点などポイントを絞って会話をしましたし、おしゃべり好きな方や話を聞いてほしそうな方にはじっくり時間を取って、一つひとつの声に耳を傾けました。患者様がどのようなコミュニケーションを取りたいか常に想像するという点は私自身のコアとなっていましたし、関わり方一つで患者様が不安な気持ちを話してくれたり安心してくれたりしたことは、とても大きな成功体験になりました。

転職のきっかけ:患者様との距離感の難しさ

血液内科は、悪性や難病と言われる疾患や重篤化しやすい疾患を診ているため、治って元気に退院していく方ばかりではなく、時にはお亡くなりになることもあります。医療施設に勤務するということは、そういった環境と患者様への思い入れのバランスを保つことも仕事を続ける上では重要だと分かっていたのですが、私は患者様の気持ちを考える傾向がどうしても強くなってしまい、必要以上に落ち込んだり、患者様の状態によって自分のメンタルも左右されたりすることが増えていきました。さらにはミスへの恐怖やプレッシャーもどんどん強くなり、他の薬剤師が二重三重にチェックしてくれても、絶対にミスができないという重圧に押しつぶされそうになっていました。

病院薬剤師の仕事は非常にやりがいを感じていましたし大好きだったのですが、視野が狭くなり心身ともに不安を覚え、次の道へ進むことを決めました。

転職活動:経験を活かせる分野で働きたい

まずは体調を整え自分を見つめ直すことを最優先に転職活動を開始しました。転職の軸にしていたのは、これまでの学びや経験を活かせる場所であることです。ただ、前職での経験を踏まえ、病院勤務ではなく患者様からは少し離れた立場で医療と関わっていきたいという想いから、医療系企業や製薬系企業を中心に探すことにしました。その際に一つ問題となったのが、通常新卒時に経験する就職活動を、私は経験していなかったことでした。

薬学部出身で薬剤師免許を持つ私がどんな企業に転職できるのかわからない状況だったので、メディカルライターや情報提供を行うコールセンターの仕事など幅広く見ていたのですが、正直な所どれもしっくり来ませんでした。そんな中、ある方からお話をいただいたのがMSLで、「この仕事があったか!」と道が一気に開けました。病院に勤務していた時から、MRとは違うMSLという仕事があることは聞いており、私がやりたいことに近いと感じていたのです。

臨床現場では、情報が十分にない中で意思決定を求められる場面が多々あります。前職時代は、全国各地で同じような問題が起こっているにも関わらず実臨床でのデータが蓄積されていない状況に、もどかしさを感じたこともありました。実臨床でのデータをしっかりと蓄積すれば、意思決定の裏付けになり臨床現場にも貢献できると考えており、その点でもMSLはとても意義のある仕事だというイメージを持っていました。ただ、知識はそれほど豊富ではなかったので、サイネオス・ヘルスの面接を受けた際に、仕事内容を詳細に教えていただいたことでとても安心でき、MSLへの理解をより一層深めることができました。
MSL活動を通して、医療従事者がより正確な情報を知ったうえで自信を持って意思決定を行っていく手助けができること、現場で困っている声をメディカルアフェアーズや関連部門にフィードバックして新たなデータ作成を行い臨床現場に貢献できることに強く興味を持ったことから、MSLとして新たな一歩を踏み出すことを決めました。

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MSLの仕事:自分の新しい強みを見つけられた

MSLとして配属されたのは外資系製薬会社の感染症プロジェクトで、今年で3年目になりました。
仕事でやりがいを感じられる場面はたくさんあります。例えば、医師が探していたデータをご紹介できた時はとても嬉しい瞬間です。臨床の現場を知っているからこそ医師とも過去の経験に基づいて会話ができていますし、同じチームのメンバーから相談を受けることもあり、頼ってもらえる喜びも感じています。
また、今の派遣先は様々なチャレンジを応援してくれる風土があります。社内プロジェクトに参画したり、講演会を企画したり、通常メディカルアドバイザーが担う業務にチャレンジしたり…私が関われる範疇で業務を広げるチャンスをいただけており、MSLと一言で言っても様々な仕事があることを知るきっかけにもなりました。
一方で、医師からのニーズはあってもビジネス視点での判断が必要となります。何でもお応えできるわけではなく、利益観点での取捨選択が重要であるという現実も、理解しつつあるところです。

MSLの仕事を通して達成できたこともあります。それは、新たな強みが見つかったことです。感染症プロジェクトはチームがいくつかに分かれており、私はCOVID‑19のチームに参画しています。特に動きの早いチームで日々様々なトピックがあるのですが、「免疫不全」というキーワードに関しては、「私に聞けばなんとかなる」という立ち位置になれました。このポジションを確立するまで、免疫不全に関するインサイトを積極的に上げ続けたり、先生の所に話を聞きに行ったりと、地道な活動を続けていた成果だと感じています。今こうして新しい強みができたことは、大きな達成感にもなっています。

キャリア形成:自分らしい将来に向けた様々な選択肢

私はコロナ禍での転職、さらには初めての派遣という働き方だったので、不安がなかったと言えば嘘になります。上司は派遣元と派遣先で2名いる状況かつ、オンラインでのコミュニケーションが中心だったので、最初はどちらを頼ったらよいか戸惑う場面もありました。ただ、今はその戸惑いもなくなり、双方のマネージャーと良い関係性を築けています。

この働き方を選んでよかった点は、派遣元に正社員として在籍しながら、希望の仕事や働き方など様々な可能性の中でキャリア形成をサポートしてもらえることです。私はしばらく仕事から離れていた期間があったので、仕事を持っておく大切さを痛いほど実感しました。だからこそ、今のプロジェクトが終了したとしても別の可能性を会社と一緒に探っていけたり、ライフスタイルが変化した時にも働くことを諦めない方法を気軽に相談できたりする今の環境は、大きな安心感があります。

今後まだどのような道に進んでいきたいかは明確になっていませんが、製薬企業で働く面白さに気づくことはできました。これまでの経験や、これから積み重ねていくキャリアを活かせる場所で、自分らしく働くことを楽しんでいきたいです。

病院薬剤師からMSLへ転身したTさんのお話が、皆さんの今後のキャリア形成の参考になれば幸いです。
「MSLのことを詳しく知りたい」「薬学の知識や経験を活かしたい」「将来のキャリアに悩んでいる」といった方に対して、キャリア相談も実施しています。
あなたの希望や経験をお伺いした上で、これからの未来を一緒に考えていきたいと思いますので、是非お気軽にご相談ください。
キャリア相談をしてみたい方はこちらからお気軽にお問い合わせください

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