働く女性のホンネ Vol.12
~世界の夫婦別姓事情~

働く女性のホンネ Vol.12<br> ~世界の夫婦別姓事情~

皆さま、こんにちは、「MR Women’s Life」編集者の吉岡です。

2022年10月に公開した『働く女性のホンネVol.6~選択的夫婦別姓制度~』の中では、選択的夫婦別姓制度について私の考えをお話しさせていただきました。
改めてになりますが、私自身は、数十年慣れ親しんで大切にしてきた自分の名前を、結婚というイベントで変えなければいけないことに大きな違和感を持っており、自分が結婚する頃には夫婦別姓の制度ができていてほしいと強く望んでいました。
運転免許証に健康保険証、クレジットカード…名前が変わることによって必要となる各種変更手続きが煩わしいという理由もありますが、いちばんはこれまで形成してきた自分のアイデンティティが壊れてしまうような感覚があったのです。
しかしながら、日本の現行の法律では夫婦別姓は認められていませんので、結婚を機に夫の姓になりました(ちなみに仕事では旧姓を使用しています)。

他国の方は、日本の『夫婦同姓』をどう感じているのか

先日、中国の方とお互いの名前について会話をする機会がありました。
私の子どもは小学生なのですが、保育園の時から仲良くしている中国人のお友だちがいます。そのお友だちのご家庭はご夫婦共に中国人で、それぞれが別の姓を名乗り、お子さんはお父さんの姓にしています。
中国は夫婦別姓が認められている国なので、ご夫婦で別の姓を名乗っていること自体は当然ですし、私は羨ましいとすら感じています。では、中国人は結婚したらどちらかの姓を名乗る日本の制度についてどう感じているのかを聞くと、「結婚したからといって自分の姓を変えるのは古い考え方、なぜ変えなければいけないのか」と、大きな違和感を抱いていたのです。

日本は、世界で唯一夫婦同姓制度が残っている国です。近隣の中国・韓国は別姓が原則ですし、アメリカやイギリスなどでは同姓か別姓かを選択することができます。私たちは産まれた時からこの伝統と共に暮らしてきていますが、他国の方はそうではありません。法律で強制された夫婦同姓は、今の時代にそぐわない“古い制度”としてとらえられているのだということを実感した出来事でした。

世界に先駆けて『夫婦別姓』を取り入れた中国

ここで、中国の夫婦別姓について、とても興味深い記事があったので少しご紹介します。

【引用元】https://www.gentosha.jp/article/23351/

中国で夫婦別姓が認められるようになったのは、人口の半分を占める女性を社会と家庭の二重の抑圧から解放するという理由で1950年に制定された『婚姻法』でした。女性があらゆる分野で差別を受けない権利を保障する『女子差別撤廃条約』が締結されたのが1979年ですから、それよりもさらに前から家庭内での平等、男女平等を唱えていたことになります。世界に先駆けて、夫婦別姓を実現した中国の先進性に、私は大変驚きました。

さらにこの記事内で興味深かったのが、「女性起業家富豪世界ランキング2021年」によると世界の女性起業家富豪130人のうち、85人(65%)が中国人女性という事実でした。日本人は、このランキングには入っていません。
女性活躍推進法は施行されたものの、結婚して夫の姓になり家事・育児は女性が行うという古くからの慣習が未だに残っている日本。結婚前も結婚後も一人の女性として独立し、自分のアイデンティティを尊重しながらキャリアを構築している中国。この違いが、ビジネスの世界における女性の活躍にも大きな影響を与えているのではないでしょうか。

自由に『選択』できる未来に向けて

多様性が叫ばれるようになった現代において、日本でも多様な夫婦・家族の形を受け入れる環境が整ってきています。同姓パートナーシップや事実婚など、法律やこれまでの概念にとらわれることなく、それぞれが望む幸せの形を追い求めることができるようになりました。
「夫婦別姓だと家族のつながりが弱くなる」、「夫婦別姓は子どもがかわいそう」そんな声もまだまだ聞こえてきますが、たとえ戸籍上では家族でなくても、名字が同じでなくても、強い絆で結びついた家族を作っていくことはできるはずです。

世界から後れを取っているこの状況を多くの方が認識し、選択的夫婦同姓制度について考え、今後さらに議論が深まっていくことを期待しています。子どもたちの世代が結婚を考える年齢になる頃には、同姓・別姓を自分たちの意志で選択できるようになってほしい。そして、女性が一人の人間としてアイデンティティを確立し、ビジネスの世界でグローバルに羽ばたける世の中となっていることを切に願います。

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