日本では長年「終身雇用」という考え方が根付いており、学校を卒業して一つの会社に勤め続けるという考えが当たり前の風潮でした。しかし近年では、経済的な低迷や、成果主義を採用する企業の増加、さらには社員に求めるスキルの変化といった理由で、終身雇用を見直す動きが大きくなっています。
また、いわゆるZ世代や30代前半くらいまでの若手層においては終身雇用への期待感も薄れており、転職へのハードルも下がっているという実状があります。一つの会社に長く勤めるのではなく、希望の働き方や収入の実現、次のキヤリアのステップとなる新しい経験を積むことを重視するという価値観を持っている若手が多い傾向にあるようです。
参考:エン・ジャパン『34歳以下の若手540人に聞いた「終身雇用への期待」調査』
製薬業界も例外ではなく、就職はあくまで“ファーストキャリア”として考え、その先に思い描く将来設計の実現に向けて、成長の機会やキャリアアップ、理想とする働き方を手に入れるために転職を選ぶ方が増えているようです。
「何歳まで働けるか、定年まで勤め続けられるか」ではなく、「将来どんなキャリア・働き方を選べるか」という視点で就業先を選択する状況にかわりつつある今、CSO業界は注目を集めています。
製薬会社で様々なエリアを飛び回って経験を積み、一つの領域を突き詰めるキャリアもありますが、CSOは希望の勤務エリアで幅広い領域の経験を積めることから、自分らしいキャリア形成を目指す方々に選ばれています。
今回は、CSOとはいったい何か、またCSOで働くことにどのようなメリットがあるのかを、具体的にご紹介します。
CSO(Contract Sales Organization)とは?
CSO(医薬品販売業務受託機関)とは、製薬企業等との契約で密接に連携しながら、医薬品のマーケティング・販売活動に関する専門的なサービスを提供している企業のことです。
製薬会社からの様々な要望に応じてCSOのMR(コントラクトMR)を派遣し、配属先となる製薬会社のMRと同じ立場で、同じ業務を担当するため、製薬会社のMRが担う役割・業務と大きな違いはありません。
世界的に業界を取り巻く環境は変化していますが、近年戦略的なアウトソーシングとしてCSOの活用は普及しており、欧米では活用率10%を超えています。日本においても業界の競争激化、ジェネリック医薬品の増加、固定コストの圧縮、業務効率化といった背景からCSOの活用は上昇傾向にあり、昨年は7%(CSO協会調べ)を超えました。
製薬会社では早期退職を募って社員数を減らしている一方で、CSOは今後欧米と同等程度の活用率になると見込まれています。さらなるニーズの拡大と発展が期待されており、将来性・安定性の面でも注目されています。
コントラクトMRとして働くメリット
CSO業界でコントラクトMRとして働くことにどのようなメリットがあるのかをご紹介します。
- 未経験からMRにチャレンジできる
近年製薬会社の新卒採用数は減少しており、キャリア採用においては未経験MRの募集はほとんど行われていません。一方CSOでは、未経験者を対象としたキャリア採用を積極的に行っています。
実際に異業種での営業経験者や薬剤師など薬学を学んで来られた方、看護師経験をお持ちの方、MS経験者などが、新たなキャリアとしてCSOに転職してくるケースも少なくありません。
- 幅広くスキルを磨ける
一般的に、製薬会社は自社の医薬品にしか携わりませんが、CSOには様々なメーカーのプロジェクトがあるので、スキルの幅も広がります。幅広い領域や製品ラインに関する知識・経験を短期間で身に付けることが可能ですし、業界のトレンドや最新の医薬品情報にも触れられるので、効率的に知識をアップデートすることが可能です。また、社内研修も積極的に行い、スキルアップを支援しています。
- 多様な経験を積み専門性を高められる
CSOでは、様々な製薬会社の依頼を受けて、期間が決まった多数のプロジェクトが常に動いています。プロジェクトによって配属期間は異なりますが、概ね1~3年のスパンで異なる製薬会社のプロジェクトに参画していくため、早期に幅広い領域経験を積むことができます。
新薬やオンコロジー、希少疾患など難易度の高いプロジェクトもあるので、短期間でステップアップしたい方にも魅力的な環境です。また、CSOのマネージャーにキャリアの相談を行えることも、魅力の一つです。
- 勤務エリアを考慮してもらえる
製薬会社の正社員MRの場合は基本的に全国転勤があり、数年ごとに異動となるケースがほとんどです。転居を伴うこともあり、ご家族を持っている方や転居が難しい事情がある方は悩まれるケースも少なくありません。
CSOは勤務地が確定しているプロジェクトが多く、エリアの希望を考慮することができます。実際に、ご家庭の事情や結婚・出産などを機に、希望の勤務地で働くために製薬企業からCSOに転職する方もいらっしゃいます。※ただし、将来的に一切引っ越しができないケースでは、契約社員での雇用となります。
- 充実した教育制度
MR未経験からチャレンジされる方にとっては特に、MRの登竜門である「MR認定試験」受験の必須条件である導入研修が受講できることは大きなメリットです。加えて、毎年受験者を送り込み、試験対策を行っているCSOには教育のノウハウが詰まっています。また、導入研修受講後はプロジェクトに参画するため、配属先での業務と並行して試験勉強を行うことになりますが、試験対策をオンラインで受講できるCSOもあります。
また、CSOによっては、MR経験者に対しても手厚い研修制度が用意されています。例えば、オンコロジー未経験でも、将来的にオンコロジー領域にチャレンジできるようにするためにオンコロジーに特化した研修を提供するなど、難易度の高い領域に対しては研修制度を充実させています。
CSOについてより詳しく知りたい方は、薬事日報社の以下リンクもチェックしてみてください。ビジネス的な視点でのCSOの将来性について掲載されています。
【CSO/CMR25周年】CSO新時代‐変革実行パートナーを目指す
薬事日報 https://www.yakuji.co.jp/
未経験の方から多様な経験を積みたい方まで、一人ひとりが思い描くキャリアを自由にデザインすることができるのが、CSOのコントラクトMRです。選択肢の一つに入れていただけると、将来の幅が広がるのではないかと思います。
「未経験からMRにチャレンジしてみたい」「MRを長く続けるために希望の働き方を実現したい」など、少しでもCSOに興味を持ってくださった方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。キャリア相談の担当者が丁寧にお話を伺い、働き方やキャリアをご提案させていただきます。